ひがしっぽ動物病院

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コラム

歯周病

当院は、歯科に積極的に取り組んでいます。

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歯、歯周病、歯みがきについてよく聞かれることをまとめました。

口がくさいけど、犬だから(あるいは年だから)しょうがないですよね?

わんちゃんの口は無臭ではないかもしれませんが、通常嫌なにおいはしません。
歯周病菌はガス(硫黄化合物)を発生させるので、口臭の原因になります。腐った卵とか澱んだドブ水とか評される生臭いにおいがします。ひどくなると、病院に入ってきただけでわかることがあります(;´д`)

歯みがきガムを食べているのに、なぜ歯石が付くのですか?

歯みがきガムは多くのものが、含有される酵素の力で歯石を作られにくくしています。
また、独特の形状をしていて、歯の表面をこそぎ、歯ブラシ効果を狙っているものもあります。ただし、残念ながら口の中全体にずっとガムの効果が持続させるのは難しいです。また一度ついた歯石はそう簡単には取れません。

歯石と歯垢はちがうものですか?どうなると歯周病ですか?

歯みがき終了後、20分で「ペリクル」と言われる唾液膜が歯の保護のために表面を覆います。そこには口腔内細菌なども付着します。数時間すると、菌の生成物により「プラーク(歯垢)」が形成されます。ペリクルと相まってバイオフィルムが形成されます。
ここに唾液中のカルシウムなどが沈着し、「歯石」が形成されます。 歯周病菌は歯垢の中に多く存在します。歯石は歯垢をカバーしてしまうので、歯ブラシや歯みがきガムの酵素が歯垢に届きにくくなります。
歯垢はいわゆる歯周ポケットの中に入り込み、また、ポケット自体をどんどん深くしていきます。炎症が起こり、周りの歯茎(歯肉)が痩せていくと、今度は顎の骨が傷害されます。これが歯周病です。決して「歯に歯石が付く病気」ではありません。

歯周病だと抜歯をするんですか?

残念ながら重度歯周病では抜歯が必要になることが多いです。歯周病では進行に伴い、顎の骨が壊されます。骨折することもあります。抜歯の目的のひとつめは「顎の骨を守る」ということです。また、歯周病では口内炎や歯肉炎を起こします。これは痛みを伴います。(後述しますが)食べることに歯は使いません。でも口は使います。歯が無くても食べられますが、口が痛いと食べられません。使わない歯のせいで使いたい口が使えないということです。 「歯が原因だから」がふたつめの目的です。

歯石取りを定期的にやってもらっています。歯周病は無いですよね?

ペットショップやトリミングハウス等で行われている「歯石取り」と動物病院で行う「歯科処置」や「スケーリング」は全くの別物です。歯周病の最前線である歯周ポケットの中を調べたり、その中の歯垢を除去したりするには、道具をそこに入れる必要があります。そうしないと歯周病のチェック、予防、処置はできません。そのため、動物病院で麻酔をかけて、歯科処置を行う必要があります。

全身麻酔は危険だと聞きました。
無麻酔の歯石取りの方が安全ではないですか?

確かに全身麻酔は100%安全ではありません。しかし、だからといって、無麻酔の歯石取りが100%安全でないのも事実です。いくら動物がおとなしくても、固い歯石を取る刃物を、動く可能性のある動物の口の中に入れることはリスクがあります。また、歯周病があれば痛みを生じます。そこに道具をあてると動物はかなり嫌がるはずです。暴れるかもしれません。舌が切れれば出血します。歯が折れれば痛みが増えます。
全身麻酔をかける前には手術前検査を行って、動物が健康であることを確認します。
手術も、心拍、血圧、呼吸数、体温などをモニタリングしながら行います。また、麻酔薬自体も組み合わせも、より安全性が高いものを選択しています。 動物に痛みや恐怖を感じさせずに、必要なことを行うための方法が麻酔だと御理解頂けるといいかと思います。

歯を抜いても食べることはできますか?

抜歯しても食べることはできます。基本的には丸呑みしているからです。 このことは歯や顎の構造を見てみるとよくわかります。

  

人間は食べるときに奥歯で咀嚼します。そのため、奥歯は臼(うす)のような形をしています。奥歯は正式には臼歯(きゅうし)といいます。顎は左右上下に立体的に動きます。顎関節が球関節(または臼状関節)で、ボールがソケットにはまるような構造だからです。

わんちゃんもねこちゃんも臼歯は裂肉歯(れつにくし)と呼ばれる、とんがった歯です。これはハサミのようにすれちがって肉を切り裂くための歯です。

顎関節は蝶番関節と呼ばれる形態です。例えば人の肘関節と同じ、一方向の動きをします。
つまり、口の開け閉めの上下運動のみです。
この裂肉歯と顎関節は咀嚼の機能を持ちません。

食べることに歯をつかいませんが、多くのことに口を使います。歯周病がひどいということは、使わない歯のせいで、口を使いにくい/使えない ということにもなります。悪い原因になっていて、温存が難しいとなれば、抜歯します。

うちの子、虫歯ですか?

黒く見えるとしても虫歯ではないことが多いです。わんちゃんの虫歯は非常に少ないです。ねこちゃんでは報告がありません。
虫歯は、虫歯菌が産生する酸によって歯が溶かされる病態です。虫歯菌は糖質を栄養源にします。人間は唾液中にアミラーゼという酵素を持っており、炭水化物を咀嚼して唾液と混ぜ、糖質を得ています。わんちゃんやねこちゃんは、炭水化物をほとんどとらないこと、唾液中にアミラーゼを含まないこと、咀嚼をほぼしないこと、などの違いから虫歯菌の増殖に適していないと考えられています。

歯みがきができません。どうすればいいですか?

歯ブラシを使った歯みがき、いきなりは難しいです。段々とステップアップしていきましょう。口を触る→唇をめくる→歯や歯茎を触る→歯みがきシートなどを使う→歯ブラシを使う という感じです。嫌がらなければ次のステップへ進んでいきます。歯みがき粉は特には不要です。また、口を大きく開く必要はありません。無理して長時間せず、初めは、今日は右の上の歯、明日は左の上、、、というように部分的にやっていっても構いません。
ポイントは毎日やって、習慣にし、継続することです。
どうしてもダメな場合は、デンタルジェルやスプレー、歯みがきガムを使います。
ただし、ひどく嫌がったり、痛がったりする場合はすでに歯周病が進行している場合もあるので、一度御相談ください。

歯みがきガム、ビスケットなどはどれがいいですか?

歯ブラシを使った歯みがきに代わるものはありません。あくまで補助と考えてください。使いやすいもの、続けやすいものがいいと思います。ガムやビスケットは、酵素で歯垢をつきにくくしたり、口臭をおさえたりということが狙いになっています。
歯が隙間に入りやすいよう線維を束ねた構造のガムや、わざと粒を大きく壊れやすくしたビスケットなどで、物理的に歯の表面をこすることを狙った製品もあります。
下の説明も参考にしてみてください。

歯を強くするために硬いガムをあげていいですか?

固いガムはやめましょう。固いもの同士がぶつかると、どちらかが壊れます(;゚Д゚)
歯が折れたり割れたりします。強くはなりません。豚や牛の蹄のような製品も同様のことが起こりやすいです。
わんちゃんの歯はハサミのような裂肉歯です。紙を切るハサミで固いものを切ると刃こぼれしますよね。当院では、「歯みがきガムはハサミで簡単に切れるくらいのもの」「手でぐにぐに動かせるくらいのもの」とお話しています。

歯みがきのやり方は、いろいろな書籍や最近はネット動画などでよく目にするようになりました。また下記のホームページは非常にかわいく、わかりやすく書いてありよく飼い主様にお話させてもらっています。( ^^) 

(参考)「ライオン商事株式会社」 http://www.lion-pet.jp/petkiss/