ひがしっぽ動物病院

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コラム

皮膚病② ~症状・疾患編~

皮膚病第2回です。
病名-診断―治療のような構成も考えたんですが、ギュギュっとトピックスだけに絞りこみました。
病気については、前回も御紹介した「犬のかゆみ.com」が簡潔にまとめてあり、わかりやすいです。

かゆみ

皮膚病では多い症状です。直接かゆみを引き起こす病気もありますし、皮膚炎が起こる結果かゆみが生じることもあります。かゆみは感覚なので本人が感じる問題です。かゆみが理由で動物病院にわんちゃんが来るとき、正確には「かいている行動をみて、『この子はかゆがっている』と感じた飼い主さんが連れてくる」ということになります。

かゆみ

わんちゃんが、座っていて、後ろ足で耳のあたりをポリポリ、、、1日に数秒間体を掻くことがある。これはイヌの正常な行動の範疇だと考えられます。
ではどこから異常なのか?1日に10回なのか、1日に合計5分なのか、明確な基準はありません。飼い主さんの感じ方の問題なんです。

犬自身の感覚の問題であるかゆみを疑う行動を、飼い主さんが異常と感じたときに、「この子かゆいんです」と言って受診してもらっているわけです。したがって、かく、なめるといった行動がいつもより頻繁になると「かゆいのかな」と受診されるケースが多いです。
頻度が増えることにくわえて、お散歩の時も立ち止まって体をかく、ご飯を食べていても中断して体をかく、というのは明らかにかゆみがあると考えられます。また、何かしらの結果、皮膚に炎症や傷(かき傷も含む)があるときも、かゆみがあることが多いように思います。

かゆみに限らず、皮膚病の診察は、他の診察の時よりも詳しく、 飼い主さんから話を聞かせていただき(どんな行動が、どれくらいの頻度で起こっているのかなど)、わんちゃんの体を観察します。(皮膚炎の有無、湿疹の有無、脱毛の有無など)

それから、フードやおやつのこと、ノミダニの予防の有無、シャンプーの頻度なども聞かせていただき、疑わしい病気について御説明したり、各種検査を実施したりします。

「体全体が、ずっと、すごくかゆい!!」
「なーーんか、くせで舐めちゃうんです。」
「え!?別にかゆくないけど。」

わんちゃんたちはどんな風に感じているのかなぁ。。。

当院では皮膚病の初診の際に、聞き漏らしが無いように、専用のシートを用いています。問診がひとつの重要な検査と御理解いただき、お話頂ければ幸いです。

食物アレルギー

食物アレルギー

牛肉アレルギーや大豆アレルギーというように、食べ物に対してアレルギー反応を起こして、下痢や皮膚症状が起こります。正確には、食物アレルギーは「タンパク質」に対するアレルギー反応です。ドライフードやウェットフード、おやつのパッケージを見てください。原材料名が記載されています。含有量が多い順に書く決まりがあります。タンパク質は含有量が多いので、初めの方に出てきます。ひとつ例をみてみます。

大麦、コーン、豚タンパク、肉類(鶏、七面鳥)、小麦粉、植物性繊維、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、加水分解動物性タンパク、動物性油脂、、、、、

こんな風に記載がありました。このフードで食物アレルギーが出ている場合は、 大麦、とうもろこし、小麦、豚、鶏、七面鳥、小麦 に対するアレルギーの可能性があるということになります。これらを含まないフードに変えて、皮膚症状が改善すれば、さらに可能性は高いと言えます。

最近よく経験するのは「アレルギーっぽいといわれたことがある」「食物アレルギーと思っていて」というような理由で食物アレルギー用療法食を与えているケースです。

食物アレルギー用療法食には、タンパク源を魚やラムなどの新奇タンパクにしているものや、タンパクをアレルゲンとして認識されないアミノ酸レベルまで分解してあるものなどがあります。また、タンパク源を1種類に限定しているものもあります。
強調しておきたいのは、食物アレルギー用療法食はすべての皮膚病に最良ではないということです。

皮膚に多くの栄養が必要なことは前回のコラムで書きました。 皮膚を作るにはタンパク質は不可欠です。食物アレルギーであれば、アレルゲンは避けたいですが、タンパク質の制限は不要です。
また、抗酸化成分や抗炎症成分は皮膚病のケアではとても役立ちます。皮膚病用処方食はこれらの成分が強化されていることが多いです。
食物アレルギー用療法食では添加物は避けるというコンセプトが優先され、添加自体を避ける場合や、添加量を抑えている場合もあるようです。

つまり、
食物アレルギー用処方食 → 食物アレルギーに特化
皮膚病用処方食 → 皮膚のコンディションを整える

食物アレルギーでないのなら、専用食ではなく皮膚病用処方食で十分、あるいはその方が、皮膚にとっては良いかもしれないということです。

食物アレルギー

現在、動物病院専用食でも皮膚用食はたくさんあります。そして、お店やネットショップにも、様々なコンセプトの「皮膚(病)用フード」「低アレルゲンフード」「アレルギーに配慮したフード」が売られています。
僕もすべての商品を把握はできません。さらに飼い主さんにとっては何が違うかわからないということになると思います。

今食べているフードをお伺いすると、「皮膚用のごはん」という答えを頂くことはとても多いです (;^_^A
場合によっては、飼い主さんと一緒にパソコンを見ながら、袋の色や描いてあった犬種などを手掛かりに、その商品を探すこともあります。

僕が皮膚病の診察の時にお願いしていることは、フードのパッケージの写真(商品名、原材料ラベル)を撮ってきていただくことです。
名前が分かれば原材料を調べることができますし、原材料が分かれば、治療方針が立つこともありますし、なにかしらアドバイスができます。絶対的な検査ではありませんが、アレルゲンを特定する血液検査もあります。

少し脱線します、、、

皮膚病は複雑です。フード変更だけで良化することもあれば、例えば、
ネットで好評の、(あなたの犬にも良いの?)
プレミアムアレルギー用フードに(どんな風にアレルギー用?)
お金をかけても、(すごく高価ですよね、、、)
良くならない時もあります。

そんなときはどうすればいいのか?フードが合わないんでしょうか?
次のフードを探す前に、ぜひ、動物病院を受診してください。そして、獣医師に話をしてください。獣医師の質問に答えてください。わんちゃんを診察することで、何かしらわかることがあると思っています。

ノミ・マダニ予防

ノミアレルギーを疑う時でなくても、皮膚病の場合は、予防しておくことをおすすめしています。月1回のスポット剤(背中につける液剤)がよく用いられるかと思います。最近はフィラリア予防も一緒にできるオールインワンタイプも人気です。

さて、皮膚病に特殊なダニとして、ヒゼンダニとニキビダニがあります。

病名原因になるダニ
疥癬、疥癬症イヌセンコウヒゼンダニ(疥癬虫)
毛包虫症、ニキビダニ症、アカラス症ニキビダニ(毛包虫、アカラス、デモデックス)

マダニよりも小さく、皮膚の掻爬検査やテープ検査で、顕微鏡を使って見つけます。どちらもなかなか手強い皮膚病の原因になります。

また一般的な予防薬ではマダニは予防できても、これらのダニは予防できず、治療時には、特別な注射薬を週に1回使う必要があります。副作用のリスクもあります。

皮膚病

ですが、近年登場した新しいお薬はノミ・マダニだけでなく、ヒゼンダニ、ニキビダニの駆除効果を持ちます。しかも、月1回の投与(スポット、経口)でOKです。副作用のリスクも極めて低いです。
当院では、掻爬検査でヒゼンダニ、ニキビダニが検出された場合はもちろんですが、過去に治療歴があった場合、疑わしいが検出できない場合なども含めてこちらの新しいお薬をおすすめしています。

耳のケア

耳のケア

「え、耳?」と思われるかもしれませんが、皮膚病と外耳炎は併発しやすいです。皮膚病のわんちゃんのお話を聞いていると、「昔から耳はかゆがっていた」ということは多いです。
犬アトピー性皮膚炎のわんちゃんの86%が外耳炎も併発していたという報告もあります。
では、毎日耳そうじをしたほうがいいのでしょうか?答えはNoです。健康な耳は入ってきた汚れや耳垢を外に送り出す自浄作用をもっているので、毎日の耳そうじは不要です。この機能が落ちているようなときには耳そうじをしますが、洗浄や洗浄剤自体が刺激になることもあるので注意が必要です。
またわんちゃんの耳道はL字に曲がっているので綿棒などを耳の穴に突っ込んだお手入れも有効ではないです。耳介のひだ部分や耳道の見えている部分の汚れは優しく取ってあげて構いません。

次回は治療のトピックスをまとめたいと思います。