ひがしっぽ動物病院

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コラム

僧帽弁閉鎖不全症③~アップデート~

2020年最初のコラムはまたまた僧帽弁閉鎖不全症についてです。
今回のコラムをお読みいただく前に、過去の分を読んでいただくことをおススメします。

過去のコラムはコチラ

昨年10月にアメリカ獣医内科学会(ACVIM)から僧帽弁閉鎖不全症の診断・治療ガイドラインの改訂版がでました。ものすごく大きく変わったわけではないですし、改訂部分も獣医師向けの部分が大きいのですが、トピックスとして少し御紹介します。

ステージ分類が改訂

これは獣医師向けの部分です。僧帽弁閉鎖不全症の治療開始タイミングは「心臓が大きくなってきたとき」となっています。その「大きい」という基準がEPIC試験(コラムNo.2参照)の基準になりました。

心拡大あり EPIC基準を満たさない 治療開始しない(StageB1)
心拡大あり EPIC基準を満たす 治療開始!(StageB2)

って感じです。基準がわかりやすくなってステージが分類しやすくなりました。
ただ、やっぱり症状や治療反応は1頭1頭それぞれの経過をみながらになります。あくまでも診断の「ガイドライン」です。(コラムNo.8の冒頭参照)

利尿剤の種類、使い方の追記

前回のガイドライン(2009年版)には記載のなかった利尿薬(トラセミド(商品名 ルプラック))が追記されました。新薬ではなく現場では使われていたお薬です。この10年の間に蓄積されてきたデータの賜物だと思います。追記ですからこれまでのお薬が否定されたわけではありません。利尿剤をうまく治療に取り込むことが、僧帽弁閉鎖不全症の管理には欠かせないということですね。利尿剤にはいくつか種類がありそれぞれに特徴があります。用法用量にも違いがあります。また個々の獣医師の使い慣れもあります。今回のお薬がどんなときもベストというわけではありません。

外科手術について

外科

これも10年間の獣医療の進歩だと思います。施設は限られていて、全ての症例が対象になるわけではないですが、治療法として明記されたことは大きな改訂だと感じます。

僧帽弁閉鎖不全症は当院のコラムのなかでも、アクセスが多い記事なので、今回は少し難しい内容でしたが御紹介させていただきました。獣医療も日々進歩しています。そして、世界規模でのデータを元にしたその進歩を、僕みたいな街の小さな動物病院でも知ることができる時代です。おいていかれることが無いように精進を続けて、少しでもいい診療をわんちゃんやねこちゃん、そして飼い主様にお届けしたいと思っています。さらに、今年もやっぱり大切にすることは、いま目の前にある命によりそうことです。

2020年もよろしくお願い致します。