フィラリアは蚊が媒介する寄生虫で、わんちゃんの心臓に寄生します。
咳、疲れやすい、血尿、黄疸などの症状がでるほか、重症化すると腹水がたまったり、突然死がおこったりします。
なので、最もポピュラーな方法として、月1回薬を飲んで、予防するということをします。
今回はこの、「月1回薬を飲んで予防」の部分を、フィラリアの一生という角度から解説します。
余談ですが、フィラリアは、日本語では犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)と呼ばれ、今話題のアニサキスと同じ線虫という分類になります。
ちなみに、この線虫類、その種数は1億ともいわれ、昆虫類をはるかにしのぎ、地球上の生物種の大半を占めるそうです。
これがフィラリアの一生です。これをワンちゃんのフィラリア予防とつなげます。
フィラリアのお薬は幼虫にしか効きません。正確には血管に入られてしまうとききません。①の時期だけです。つまり、お薬は「蚊に刺されて体に入ってきた幼虫が血管に入るまでに殺す」ということです。(「予防薬」と呼ぶことが多いですが、立派な「殺虫薬」ですね。)なので、薬は毎月になります。2か月たつと、もしかしたら、速いヤツがいると血管に入っているかもしれないので。
蚊を見かけた1か月後から蚊がいなくなった1か月後までです。
①が起こっているかもしれない間は薬を飲むということですね。蚊の吸血時期については1月からの毎日の最高気温などから推測されています。千葉では5-12月が投薬期間と言われます。
検査キットで成虫の成分を調べています。もしくは顕微鏡でミクロフィラリアを調べています。つまり、③の状態にないか?の検査です。お薬は血管に入る前の幼虫に効く。と言いましたが、ミクロフィラリアには効いてしまうことがあります。お薬で血管内のミクロフィラリアが死ぬと、その死骸や死骸からの成分で、ワンちゃんにショック症状が現れたりするので、毎年きちっと予防していても、検査が推奨されています。
1ヶ月を1日でも過ぎたら薬が効かなくなるわけではありません。シーズン中は薬を飲み続けるのが重要です。数日遅れたとしても、毎月きちっと飲んでいってください。幼虫が①の時期なら効きます。予防ができたかどうかは翌年や③にあたる時期に検査してみましょう。
病院にはイラスト入りのわかりやすいパンフレットがあります。お気軽にお越しください。
パンフレットだけの御用でもかまいません。
かかってしまうと、成虫の駆除は非常に厄介です。術中死のリスクもありますし、内科駆除後も後遺症が出ることが多いです。
ネコちゃんもフィラリアに感染します。同じように予防できます。
食べるタイプのお薬よりも、背中に液体を付けるタイプ(スポットタイプ)をよく使います。
感染していたネコちゃんたちの40%は室内飼育だったというデータもあります。
確かに、僕たちも家の中でも蚊にさされますもんね。