④腎臓病治療薬への期待
なぜ猫が慢性腎臓病になってしまうのか?そのカギを握る物質が明らかになりました。
それがAIM (Apoptosis Inhibitor of Macrophage)というタンパク質です。今年の1月にネットニュースなどでは出ていたので御存知の方もおられるかもしれません。
AIMはゴミ、例えば死んだ細胞などにくっついて、「これは処理していいですよ」という目印のような役割をしています。AIMがくっつくとそれを目印にマクロファージという白血球の一種がやってきて、それを自らに取りこんで処理(貪食)します。
腎臓が悪くなると、尿細管にゴミがたまります。ヒトやマウスではこのゴミにAIMがくっついて、すぐに処理されるのに、猫ではAIMが働かないそうです。
なぜか?その理由までわかっているそうで、AIMとAIMが待機するタンパク質との結合が、猫ではヒトやマウスよりはるかに強いそうです。言うなれば、ゴミ収集車がセンターに待機していても、なかなか動いてくれない。というようなイメージですかね。
ということで、「AIMを薬として作ってしまおう」というのが背景です。

AIMは東京大学の医師が発見していて、最終目標がヒトへの応用になっています。つまったゴミを処理するという点で、アルツハイマーへの応用などが考えられているようです。さらには、例えば「特定のがん細胞にだけくっつくAIMが開発できれば、癌の治療薬としても使える!」というような発展も想定されているようです。記事の中には2022年までの商品化を目指すというような文言もありました。
近い将来、猫の慢性腎臓病の治療は画期的に変わるかもしれないですね。そしてその先にはヒトへの研究開発も。猫もヒトも健康に長生きできる未来が待っているのかなぁ。