歯科
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2才までに犬の80%が歯周病にかかると言われています。猫は難治性の慢性口内炎が問題になることがあります。人と同じように、歯周病が健康や寿命に影響することも明らかになってきています。当院では予防歯科にも力を入れています。
どれも心情としてとてもよくわかるのですが、残念ながら、歯周病のケアとしては正しくないんです。いい状態で歯を残すためには早くからそして継続してケアをすることが大切です。
2019年にAAHA(アメリカ獣医福祉協会)が発表している犬猫の歯周病ガイドラインがあります。そこでは述べられている歯周病のケアとしてのポイントは2つあります。
ひとつは、悪くなる前の予防を想定していること。2才で1回目の口腔内検査とスケーリングを行うよう推奨されています。
そして、もうひとつは、動物病院での定期ケアと同じようにホームケアを重要視していることです。お家での歯ブラシを使った歯みがきが推奨されています。
当院でも、このガイドラインを参考に、以下のようなことをお話ししています。
「そろそろですよね!」と言って定期的に処置を受けに来てくださる飼い主様が徐々に増えてきています。
口の中の検査、歯のレントゲン撮影、歯周ポケットの評価、スケーリング、抜歯、いずれの処置にも全身麻酔が必要になります。
重度歯周病で多くの抜歯が必要になれば、数時間の歯科手術になりますが、口腔内の検査と定期的なスケーリング程度であれば、麻酔時間は30~60分くらいのことが多いです。
全身麻酔や抜歯への御不安はあるかと思います。麻酔方法や機械、麻酔薬自体はどんどん進歩しています。また獣医師や看護師は知識と技術を持っており、それもまた進歩させることができます。もちろん鎮痛処置も併用し、痛みにも最大限ケアします。
麻酔無しでは、わんちゃんねこちゃんを怖がらせることになりませんか?
動いてしまう状態で抜歯をしたり歯肉を切ったりするような刃物を安全に使えるでしょうか?ヒトの口腔外科の待合室には「歯科が怖い方でも静脈麻酔で安心です。」というポスターが張ってあるのを見たことがあります。
麻酔をかけるからこそできることがあるということも知っていただきたく思っています。
抜歯についても、それぞれの歯の評価はもちろん、ホームケアの可否、再処置の可否、そして飼い主様の考えも取り入れて、判断します。「今回は温存で、ホームケアで維持できなければ抜歯」というような、二段階を想定した処置を実施することもあります。
「全身麻酔か無麻酔か」「抜歯か温存か」ではなく、歯周病予防のために必要なこと、わんちゃんねこちゃんの口の中の健康を守ること、そして、それを確実に安全に達成するための方法はなにか?と考えてもらえるといいかと思います。
ポイントだけを。ターゲットは歯周ポケットに潜むプラークです。歯周ポケットに毛先をいれるイメージを持ってください。歯周病になりやすいのは図の赤丸部分です。
まずはそこだけでもいい。そしてまずは外側だけでもいい。「あーん」は必要ありません。口は閉じて口角に歯ブラシを潜り込ませる感じ。
多くの製品がありますが、成分や商品の効果を比較検証するようなデータは出てきません。
客観的に根拠をもって「この商品がよい」と言うことは非常に難しいです。ひとつの根拠としてVOHC認定があります。認定商品で日本で販売されているものもあります。
もちろん、成分や認定は、重要な要素ですが、継続のためには他の要素も大切ですよね。与えやすさ、嗜好性、価格、飼い主さんが使いやすく、わんちゃんねこちゃんが受け入れてくれるものが理想的ですよね。
昨今、クチコミや使用感が強調された高価なサプリや、成分不明のトンデモサプリを見かけることも多いです。
サプリメントは元々あいまいです。補助的にうまく使えればいいかなぁと考えています。製品を選ぶ際は思い出してください。
硬いものを噛むと、歯石が割れてとれるかもしれません。同じように歯が割れる可能性もあります。硬いもの噛ませる理由やその効果(?)も謳われていますがリスクを上回るようなメリットはありません。そもそも歯周ポケット内のプラークコントロールができません。ちなみに歯はどうしたって筋肉みたいに大きくなったり太くなったりできません。
弾力があるガムを飼い主さんが手で持って、わんちゃんがグニグニ噛んで、歯面が掃除され、成分が唾液に混ざって口の中にいきわたるイメージです。そういう説明書きがある商品を選んでください。
口の中、歯って意外に見えにくいものです。各資料や模型を使ってお話しております。歯の根っこ(歯根)が見えるクリアモデルもあります。模型類はお子さんたちに大人気です(笑)
飼い主様への御説明には模型や歯垢歯石を発光させるライトなどを使って、状態を説明しております。
歯を検査したり、歯周ポケットを調べたりする器具です。こんなカラフルな器具もあります。カワイイ!
歯を切る、骨を削る、歯石を取る、水ですすぐなど各種機能をもった優れものです。歯医者さんにあるものと機能は変わりません。 カッコイイです☆
歯の半分以上は骨の中に隠れています。歯周病は歯の周りの病気なので、歯根でも起こります。そこを見るにはレントゲンがかかせません。