猫の慢性腎臓病|ひがしっぽ動物病院|千葉県鎌ケ谷市にある動物病院

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コラム

猫の慢性腎臓病|ひがしっぽ動物病院|千葉県鎌ケ谷市にある動物病院

猫の慢性腎臓病

わんちゃん寄りのテーマが続いたので、今回はねこちゃんで。猫の慢性腎臓病01
2回の予定で慢性腎臓病について書きたいと思います。

とにかく、ねこちゃんと腎臓病はきってもきれません。
あるデータでは3頭に1頭が罹患すると言われています。

腎臓は御存知のように尿をつくります。
もう少し言うと、血液を循環させるときに、多くのものを排出しちゃって、必要なものを回収して、尿をつくります。なかなかの高性能老廃物排出システムです。

このすごいシステムを実際に行っている構造をネフロンと言います。 ネフロンという小さい構造それぞれが尿を作っています。
ヒトだと左右の腎臓で200万個、イヌでは80万個と言われています。で、ネコは40万個。

このネフロンの少なさが、ねこちゃんに腎臓病が多いひとつの原因だとされています。

横道にそれますが、ネコに腎臓病が多い原因に「ネコは元々、水の少ない砂漠地帯に住んでいたから、効率良く尿を作るために、腎臓には負担がかかっている。」(猫のルーツは13万年前に中東の砂漠地方に生息していたリビアヤマネコと言われてるんですよね。)というのがあります。

でも、これ、昔から全然しっくりこないんです。僕。
腎臓に負担、、ならネフロン数が多くなる方向に進化するんじゃないか。効率良く尿つくりすぎて、負担がかかるって????

なので、自論。砂漠地帯って、水も獲物も少ないわけで、それをやりくりしていく腎臓だったんじゃないか。それができれば十分な腎臓。だからネフロンは少なくてもいい。もちろん効率は良くていいです。

それが、人と共生し、毎日食ベ物があり、寿命がのび、、、腎臓は、少なめのネフロンは、
想定外の仕事をこなすことになったんじゃないかなぁと思うんです。

猫の慢性腎臓病02

まぁこれだって、進化して、ネフロン数が増えてきそうですけど。。もどります (;^_^A
腎臓病は慢性化、進行していく病気なので、いかに早く診断するかが重要です。

わんちゃんの心臓病と似ています。
(コラム第2回 僧帽弁閉鎖不全症)

腎機能の評価にはGFRという濾過機能の検査が適しているのですが、これは簡単には測定しにくいです。
そこで、尿検査(尿蛋白、尿蛋白クレアチニン比(UPC)、尿比重)、血液検査(血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE))などを利用します。

ねこちゃんは来院自体も大変なことも多いのですが、血液検査でCREを診ることが最も汎用されています。
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)のステージ分類もCREが基準のひとつです。

ところがこのCRE、腎機能が75%落ちないと数値が上がってこない。言い換えれば2つある腎臓のひとつが駄目で、もうひとつの半分も駄目ってレベルになって初めてCREが上がる。
なんとかもうちょっと早く腎臓病を診断するマーカーはないか!?ってことでいろいろ研究がなされ、近年、SDMAというのが利用されつつあります。SDMAは腎機能が40%低下くらいで数値があがってくるといわれています。また、血液で測定できるので、実施しやすいです。

猫の慢性腎臓病03

さらに、従来の治療薬と異なる作用の腎臓病薬が、今年の5月から発売になった(商品名:ラプロス)ので、SDMAとからめた、診断&治療のデータがこれからどんどん出てくるのかなぁと期待しています。

検査は単発でその病気を確定するためのものと、経過をみて変化を見つけるものとがあります。

SDMAは後者です。年1回の健康診断では視診、触診、聴診など普段の診察に加えて、少なくとも血液検査をおすすめしていますが、ねこちゃんは特にSDMAを加えておくといいかもしれません。

次回は、腎臓病の症状と治療・ケアを書きたいと思います。